番外編 はじめまして、の 「……何かが横切った」 城下町で所用を済ませ、家に帰ろうとする道中だった。ゼロが唐突にそう呟くのを聞き、ツヴァイクは足を止める。ここは草木に覆われた薄暗い山道で、今このふたり以外に人の往来はない。「奥... 2025.09.18 番外編
番外編 瞼裏の光 2025年7月20日発行 夏の盛りだ。 この国の冬と夏の気候の差異はどうかしている。それでも住処としている中山間部の暑さよりは幾分か和らいで感じるのは、辺りに広がる一面の湖と木陰のおかげだろうか。時折... 2025.07.19 番外編
番外編 春の宵 酔っちゃったみたい。僕はそう言って、ツヴァイクの肩に頭を乗せた。「気分は悪くないか」 彼が僕の顔を覗き込んでくる。眉根を寄せ、僕の顔色をじっと見ているようだった。僕は首を振って、すこし笑う。「悪くはな... 2024.12.14 番外編
番外編 しるす 開け放った窓から、朗らかな旋律が聴こえる。外ではゼロが歌いながら洗濯物を取り込んでいた。テラは炊事をしていて、今しがた下準備を始めた頃だ。何を作るのかはまだ聞いていなかった。手伝おうとすると、今日は自... 2024.11.12 番外編